今年の板院展はいくつかの点で新しくなりました。まず一月の総会の議決を経て、一般社団法人になったことです。法人化に伴い会則は定款という名称に改められ、新たに委員が設けられました。これで会員の構成は、名誉会員・委員・同人・院友そして賛助会員となります。
新体制にふさわしい成果を発表しようと、15名の審査委員たちは次々に持ちこまれてくる作品に、例年にも増して熱く厳しい視線を送りました。喧々諤々の議論の末、入賞・入選に輝いた作品は、すでに東京都美術館に並べられたとおりです。
同人の皆さんには、目新しさこそ多くはないものの、長い年月をかけて磨き上げてきた本物の個性、すなわちテーマと技法の高いレベルでの同化がキラキラと光っていたように思われます。それに対し院友の方は、これまでにないテーマを独得の色遣いやフォルムであらわすなど、ある意味「板画の枠」を突き破っていこうとする意欲がみなぎっていました。一般では、開拓の勢いあまって本当に板画でなくなってしまったものも散見されたほどです。
でも、そうした違いが真正面からぶつかってこそ、日本板画院の牽引する美術アートの明日がみえてくるのだろうと確信したことでした。
by JAO |