ついにコロナ禍から立ち上がり、
見事な復帰を果たした第23回東京湘南絵画会展
コロナ禍という、人類がいまだ経験したことのない大災難に見舞われ、すでにかなりの月日が経ちました。規制緩和の声が聞こえはじめた今ごろになって、ようやく外出の自粛にもマスク着用の生活にも慣れてきたという、まことに皮肉というか、やり切れない現実です。それにも増して、どうしても馴染めなかったのがアートのない生活でしょう。せっかく絵を描いてもお目当ての展覧会は開かれず、無理やり開いてみたところで結局誰もやってはこられません。
そんな切ない毎日におさらばしようと、東京湘南絵画会の竹市和昭先生はとうとう立ち上がられたのです。先生の大好きなパリのセーヌ川に取材した傑作を引っさげ、東京都美術館の広い会場に陣取られました。こんなに頑張って描き上げた力作を、みたくない奴は来なくていい。俺独りでもやってみせる。そうした気迫が会場の隅々にまで行き渡り、社会へと伝播していきました。メンバーの先生方にしても、もはや黙っているわけにはいきません。思い思いの作品を携え、令和4年5月12日に東京都美術館へと結集しました。
インドの透明なスカーフを巻いた女性が、さまざまな工夫をこめて描きとられています。そうかと思うと、瓶や人形を集めた卓上静物たちが、賑やかにお喋りをはじめる。美術とはいっても、楽譜や楽器のあいだからメロディーが溢れだしてくる、音の作品だって少なくありません。そして何といっても、湘南の美しい野山や大海原を描いた作品は、この会の大事な持ち味ですね。
絵画は、竹市先生がいつもおっしゃっておられるように、難しい理屈ではありません。生活全体を華やかに潤し、日々の暮らしを限りなく楽しいものにしてくれる存在です。それにしても今回は、いつにも増して明るく溌溂とした作品が揃っていたような気がします。やはり長時間待たされている間に、皆さんの気持ちは自然と高ぶっていたのでしょうね。竹市先生を中心に、そうした気持ちを大切に、これからも東京湘南絵画会をずっと続けていただきたいと、心より念じております。
by JAO