第16回東京湘南絵画会が華やかに開催!
平成27年6月29日から7月5日までの7日間、第16回東京湘南絵画会が東京都美術館で華やかに開催されました。今年の会場は同館のなかでも最も天上が高いギャラリーA室。美しいタイル壁のすべてを使って、約100点の作品が横一列に並べられました。その壮麗なること、さすが日本を代表する展覧会場だけのことはあります。
展示の中心は何といっても会の主宰者・竹市和昭先生の大作「サントリ二島(イアの丘)」でしょう。このサントリニをはじめとするエーゲ海の島々は、古代東方の専制君主な文明に対し、自由で進取の気性に富んだ人々がより人間的なアートを描きはじめた場所としても有名です。ベランダから差し込む南国の太陽が、のびのび振る舞う人々の日常に燦々と降りそそぐ様は、まさにこの世の楽園といっていいでしょう。「東京湘南絵画会」の理念にも通じるヨーロッパ・アートの第一歩は、ここからもたらされたのです。
一言でいえばそれは、古代ギリシャに根ざした明るい生活であり、決して人々を分け隔てしない開放性のアートだと思います。後の印象派が実践した原色のきらめきは、この会ではより身体へと同化し、理屈だけに終始しない形で一点一点の作品のなかにずっしりと根を下ろしているようです。
エーゲ海の沖合いを行くヨットを描いても、テーブル上を賑わすジョッキやグラスを描いても、それらはいつも現実の生活が発する深い輝きとある種の落ち着きに満ちています。そして結局のところ竹市先生が提唱される、近代ヨーロッパの洒落たエスプリと深く交感し合う稀有な画境へと向かうのだと思います。
生活に終わりがないように、アートにも決して終着点はありません。これからも竹市和昭先生を中心に、全員が和気藹々となって新しい仲間を獲得され、「東京湘南絵画会」の時代をみんなで力強く切り開いていこうではありませんか。
美術評論家・勅使河原 純