記念すべき第15回東京湘南絵画会展がはじまりました。
とうとう憧れの地、東京都美術館での展覧会が実現しました。これも竹市和昭先生を中心に、東京湘南絵画会に関わりのあるすべての人々が、持てる力のすべてを出し切って結集したからだと思います。栄えある成果に、心より「おめでとうございます」と申し上げたいと思います。
東京都美術館は1921(大正10)年に発足以来、わが国団体展の発表会場として93年の歴史を刻んでまいりました。つまり、日本人による新しい美術作品の大部分はここで産声を挙げ、社会の喝采を浴びてきたのです。今回、東京湘南絵画会の皆さんがその戦列に加わられたことは、皆様にとってはもちろんのこと、美術界全体にとっても大変おめでたい出来ごとと存じます。
これを契機に、これまで主宰者・竹市和昭先生を中心に育んでこられた信念を、より一層大きく鞏固なものにしていっていただきたいと思います。それは一言でいえば、古代ギリシャに根ざした明るい画面であり、決して人々を分け隔てしない開放的人間関係だと思います。印象派が実践した原色のきらめきは、この会ではより身体へと同化し、理屈だけに終始しない形で一点一点の作品にずっしりと根を下ろしているようです。
エーゲ海の沖合いを行くヨットを描いても、テーブル上を賑わすジョッキやグラスを描いても、それらはいつも現実の生活が発する深い輝きとある種の落ち着きに満ちています。そして結局のところ竹市先生が提唱される、近代ヨーロッパの洒落たエスプリと深く交感し合う稀有な画境へと向かうのだと思います。
生活に終わりがないように、アートにも決して終点はありません。これからも竹市和昭先生を中心に、全員が和気藹々となって新しい仲間を獲得され、「東京湘南絵画会」の時代を切り開いていかれることを心より祈念しております。
美術評論家・勅使河原 純