茅ヶ崎でつづいた14回の展示
そして、これからは東京都美術館が新たなステージです
「東京湘南絵画会」は2000年に産声を上げました。以来今年の第14回展まで、湘南・茅ヶ崎の地でずっと作品発表会をつづけてきました。毎年素晴らしい展覧会を開いてこられたのは、絵というものを通してメンバーの一人ひとりが生活に夢と希望を実感できたからではないでしょうか。アートを鑑賞し、なかんずく創造するということは、人々にそれだけ大きなインパクトもたらしてくれるのだと思います。
そしてこの懐かしい「茅ヶ崎市民ギャラリー」にも、いよいよお別れを告げなければなりません。平成26年から「東京湘南絵画会」のステージは、東京都美術館へと移ることになりました。上野の会場では、この会をめざして全国から集まってくる俊英たちと一緒に、また新しい展覧会づくりがはじまることでしょう。
でも心配はいりません。「東京湘南絵画会」には、主宰者・竹市和昭先生の掲げられる立派な信念があるからです。それは一言でいえば、ギリシャに根ざした明るい画面であり、決して人々を分け隔てしない開放的人間関係だと思います。印象派が実践した原色のきらめきは、この会ではより身体へと同化し、理屈だけに終始しない形で一点一点の作品にずっしりと根を下ろしているようです。
エーゲ海の沖合いを行くヨットを描いても、テーブル上を賑わすジョッキやグラスを描いても、それらはいつも現実の生活が発する深い輝きとある種の落ち着きに満ちています。そして結局のところ竹市先生が提唱される、近代ヨーロッパの洒落たエスプリと深く交感し合う稀有な画境なのだと思います。
生活に終わりがないように、アートにも決して終着点はありません。これからも竹市和昭先生を中心に、全員が一丸となって新しい仲間を獲得され、「東京湘南絵画会」の時代を切り開いていかれることを心より願っております。
美術評論家・勅使河原 純