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都政新報 2009年12月15日掲載

新 アートの時代へQ

●江戸東京博物館常設展示
 400年のタイムスリップ


  明治大学駿河台校舎など3ヶ所で、この11月1日、江戸文化歴史検定の試験が行われた。3つのセクションに分かれて、それぞれ「江戸力」を競うもので、今年のお題は「東海道五十三次」。新居宿(現・静岡県浜名郡新居町)の有名な食べ物とは? といった問題が並ぶ(ちなみに答えは鰻)。最高の1級ともなると、そのまま旅行ガイドとして生計が立てられるレベルだという。
 第4回目に当たる今回の受験者は、軽く6,000人を超える。人気の背後には、どうやら「江戸開府四〇〇年」(2003年)以来の江戸ブームがありそうだ。歴史学者で江戸東京博物館館長の竹内誠によると、大正から昭和にかけての時期にも江戸ブームは起きていたという。このときは関東大震災とその後の復興で、東京から江戸が姿を消してしまうことへの危惧の念が引き金になったらしい。
 一方今回は、長い平和のなかで独特の美意識や生活文化が醸成され、江戸では環境にやさしい循環型社会やスローライフが実践されていたことへの再評価が根底にあるという。江戸東京博物館はそうした人々の熱い関心に応え、400年の古(いにしえ)にタイムスリップできる装置としてつくられた博物館なのである。
 見所は何といっても常設展示だ。エレベーターで一気に6階まで上がり、入り口を通過すると、いきなり目の前に長さ25メートルの日本橋が出現する。その先には家康が目指した計画都市・江戸がひろがっている。〈江戸ゾーン〉だ。徳川宗家の遺産ともいうべき江戸城御成門と町割りが見事である。
 5階へ降りると武士・町人の暮らしぶり、書物がつくられる過程をリアルに追った出版と情報、菱垣廻船「寿悦丸」など暮らしを支える商業、江戸と結ぶ村と島、江戸の四季と盛り場、異国との交易品、錦絵の誕生などが、収蔵品や多彩な模型を使って生き生きと再現されている。
 なかでも日本橋人形町の辺りにあった芝居小屋「中村座」の実物大模型(間口約20メートル)が壮観だ。官許の櫓をあげた三座の一つとして、江戸っ子で賑わっていた当時の有り様が彷彿としてくる。人気芝居「助六」など、いまの歌舞伎につながる舞台としての興味もつきない。また重い千両箱を持ち上げたり、肥桶を担いだりできる体験コーナーも、つねに人だかり絶えないスポットだ。
 中村座の向かい側にある洒落た洋館・朝野新聞社から〈東京ゾーン〉に入る。ここでは明治時代を彩った文明開化の様子が、鹿鳴館の建物、人力車、戸長の洋服などの資料で実感できる。自働電話函(電話ボックス)などの産業革命、12階建の「凌雲閣」に象徴される市民文化と娯楽を経て、関東大震災、モダン東京、空襲と都民、そして闇市と英語が氾濫するよみがえる東京へと展示はつづいていく。
 戦後も白黒テレビ、洗濯機、電気冷蔵庫の「三種の神器」がもて囃された時代が、巧みな展示でリアルに再現される。〈通史ゾーン〉では一転して「自然から文明へ」というくくりで、東京湾、ナウマン象の化石、東京の地層、そして東京に残る竪穴式住居、埴輪などが多彩に紹介されている。
 3つのゾーンで使われている浮世絵や古地図、生活道具類などの資料は約2500点にのぼり、復元模型は50点に達する。歴史を生活の面から検証していくには、またとない施設だ。そして見落としてならないのが、この博物館の群を抜く集客力であろう。
 開館後10年で1700万人の来館者をあつめ、このところは毎年200万人(常設展では1日平均3000人)の観客をお迎えしている。ジオラマや体験型展示などディスプレーの本質的ちがいがあるにせよ、美術館が束になっても敵わない規模だ。日ごろ意識されることはあまりないが、まさに日本の首都・東京に君臨するマンモス文化施設である。

 

 


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