いま改めて、第24回展の壮大さを讃えたい
「東京湘南絵画会」は、今年晴れて第24回目の展覧会を迎えた。人間でいえば成人式を無事に終え、押しも押されもしない一人前の大人として、いよいよ実社会に地歩を固めはじめたといったところだろうか。心よりお祝いを申し上げたい。
その名の通り、この会は首都圏の湘南地方・茅ケ崎の地で2000年にうぶ声を上げ、第15回展からは憧れの会場・東京都美術館に発表の舞台を移している。関係者の幅ひろい人脈を生かして、2018年には一般社団法人「新日本美術院」との歴史的な提携も果された。「東京湘南絵画会」主宰者の竹市和昭先生は、同時に「新日本美術院」の理事長でもあるという、驚くべき姉妹団体の誕生となったのである。責任も仕事量も一気に増え、社会的影響力の大きさでは、これまでとは比較にならないほどの急拡大といっていい。
それだからこそ、新しい器に相応しい立派な中身をとの思いから、画業の向上に一層の磨きがかけられたことは云うまでもない。努力の甲斐あって、いまでは油彩画・水彩画・パステル・デッサンとどのジャンルをとり上げても、万人の心に染み入るようなまことに奥深い造形の創出に成功しておられる。それも外界の薄っぺらななぞりではなく、大自然を含めた生活と美術の本質的な結びつきを視覚化していくのがこの会の眼目だ。ここではどんなに細かい部分に分け入っても、その向こう側には必ず「人々の実際の暮らし」というものが、幾重にも秘められている気がしてならない。
それらが絵画となり立体造形となって、しばしばみる者の心を揺さぶってくるリアリティは、まさに東京湘南絵画会ならではの真骨頂だろう。そのエネルギッシュな迫真性は、竹市和昭先生をはじめ、全メンバーに共通する稀な美質といってよい。やはり「東京湘南絵画会」は、地元の自治体から市長賞や教育委員会賞の授与を推奨されるだけのことはある。これからコロナ禍以降の再起動に向け、猛ダッシュが望まれる美術界にあって、「東京湘南絵画会」のますますの発展は、独りこの会のためだけのものではないと思う次第だ。
by JAO