第17回東京湘南絵画展
盛大に開催される!
今回の展示は、これまでになく大きく変化しました。第15、16回は東京都美術館のギャラリー・スペースでの発表でしたが、第17回展は2階第3展示室全体を使っての壮大な展示となりました。会場を下見した会員たちはその広さに圧倒され、「どうしよう」とただ顔を見合わせるばかりだったといいます。でも竹市和昭先生は動じません。
総会、評議員会を何度も開いて話し合いを行い「展示室の広さはもちろん、壁面の高さを考えれば、2段掛けにすべきで、一人あたり5点出品を基準にしよう」と決断されました。意欲のある人がそれ以上出品したいというのであれば、それも認めようじゃないか。また100号まではどんな大作であってもOKにしていこうと、ピンチをチャンスに変えるべく、大胆な手に打って出られたのです。
でもそうなると展示が妙にバラついたり、間延びしてしまう危険性もないではありません。それを避けるため、会友以上は全員「自己紹介プレート」をつくって、作品の横に掲げることにしました。ちょっと生意気なようですが、鑑賞者からすれば目のまえにある気に入った作品の作者やプロフィールがすぐにみられるというのは、とても気の利いた素敵なサービスだと思います。さらに作品の塊り同士が、壁面上で混同されないよう、6点以上の出品者には「○○の世界」という名前入りのプレートを貼ってもらうことにしました。
工夫はそれだけではありません。東京湘南絵画会が絵画の基礎であるデッサンに力を注いできたことは、広く知られている通りです。ですからここでも、その基本ポリシーに沿って人物、鉛筆、石膏などのデッサン作品を、少なくとも1点は含めて出してもらうようにしました。
いずれもほかの美術団体ではまずみかけない、ユニークな手法です。しかし今日のように、絵画が一部のプロや熱心な芸術愛好家だけのものではなくなっている時代には、こうした工夫こそ観客たちを喜ばせ、来場者を増やしていく大切なきっかけになるのではないでしょうか。素晴らしい作品を楽しみながら、ふとそんな皆さんの温かい思いにも触れられる展示だったと思います。
by JAO