ルソー「戦争」の分析

 

アンリ・ルソーの「戦争」で、〈素朴な表現〉のみられるところを挙げてみました。(ほかにもみつかったら、ご面倒ですがオフィスまでご一報ください)。

 

① 黒い馬(のような動物)の蹄。馬蹄の形が4脚とも、割箸状に描かれている。
②⑬ ほとんどの顔は省略され、なかには⑩のように「のっぺらぼう」になっているものもある。そうしたなかで、②⑬の二つだけは妙にリアルである。⑬の方は後の妻ジョゼフィーヌ・ヌーリの夫ル・タンソレルといわれているが、それでは②は一体誰?
③ここに描かれているのは足の裏側。この脚はどちらへ向いてついているのか。
④黒い馬の脚に合わせて、山がへこんでいる。
⑤ここまで手首を曲げるのは、正直いって無理でしょう。
⑥剣をつかむ手の「かに挟み」を、わざとらしくアピールしているのはなぜ? (こうした持ち方はアルフォンス・ミュシャの作品にも認められるが、当時「かに挟み用の十字剣」があったことをご存知の方はお知らせください)。
⑦この女は馬に乗っていない。松明と剣をもって空中を飛翔している。黒い馬の尻尾のような髪形をしたこの女は、そもそも一体何者?
⑧足指のつき方からすると、女は後ろ向きになるはずだが。
⑨黒い馬のタテガミは二つに分かれ、それが真上から描かれている。頭部では真横からだが。(ピカソのキュビスムは、ルソーからもたらされたのでは?)
⑩顔が「のっぺらぼう」。胴体は背中を向けているが、顔は上向き。そこにカラス(ハゲタカにはみえないが)はどうやって乗っかっているのか。
⑪松明に火の粉がみえる。何か意味するところはあるのか。
⑫折れた木の枝というより、人の腕にみえる。
⑬カラスの食べている生肉はル・タンソレルのものか。
⑭馬は通常、走っているときには舌を出さないと思うが。
⑮この尻は左右どちらの人物のもの? それとも⑯は左の人物のふくらはぎか。
⑰木の根に血管のようなものが浮き出ている。怨念をこめた擬人法か。

 


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